[学生フォロー] 大学中退予防の専門家がいま危惧していることと全力でのお願い 2020/04/29

大学中退予防を専門に研究・実践している山本先生の投稿.

---記事より抜粋---

・中退の理由は様々ですが、多くの方が最初にイメージするのは「経済的理由」かもしれません。ところが『中退白書2010』を制作するために手分けして101名の高等教育機関の中退者に対面でインタビュー調査を行ったところ、経済的理由が真因だったケースは1割弱でした。この調査は中退者のうち、一都三県在住者、かつ、約5000名の中退者にインタビュー調査への協力を依頼して応じてくれた方々が対象なので、母集団に偏りがあります。この手の調査にはつきものですが。その他、個別大学の中退対策をサポートする際、その大学の中退者を追跡調査した時も経済的理由は大体どの大学でも1~2割、文部科学省の調査でも経済的理由による中退は2割強です。ということから、経済的理由は2割程度と言って少なすぎることはないと考えております。

では、残りの8割は?最も多いのは「学生生活への不適応」、次いで「学業不振」です。学生生活への不適応は、圧倒的に大学・短大・専門学校の1年次に多く生じます。大学や学部学科ごとに多少の違いはありますが、中退者のおそらく5割程度が、1年次の「学生生活への不適応」が真因です。全国的な調査を実施できていないので、推測です。その症状は、直接的には「出席率」、次いで「修得単位数」に出ます。

「学業不振」は、1年次はあまり発生しません。なぜなら、大学1年次の学びはそれほど難しくないことが多いからです。別の言い方をすると、あまり基礎学力は求められません。多くの大学で基礎学力が求められるのは、専門の授業が本格化する大学2年次以降です。(1年次は「学習習慣」の方が問題になります。)

・おそらく、2020年度の新1年生の中退率は激増します。主な理由は以下の通りです。・・・

・そもそも通信制大学やオンライン大学の卒業率は通学制の大学に比べて高くありません。日本の場合、通信制大学の卒業率は平均10%台です。中には50%以上が卒業する通信制大学もなくはありませんが、そのような大学はまだ例外的存在です。オンライン大学は日本には数えるほどしかなく、統一された計算式で卒業率が公表されていないので平均値を出すこと自体できていません。ひとまず6割とでもしておきましょうか。

ここで考えていただきたいのは、この卒業率は、以下の条件が揃った上での数字だということです。・・・

・今回、新型コロナウイルスの影響でオンライン化する大学はどうでしょうか。そうです。たった1~2か月の準備期間しかない状況で、初めてオンライン教育に取り組みます。しかも、新入生はほぼ全員18,19歳、そして通信制またはオンラインを自ら選んだわけではない……。


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