[ブログ] 「中世の大学」の教育方法から現代を考えてみる

#立教大学 #舘野泰一 先生のブログより

「中世の大学」の教育方法から現代を考えてみる | tate-lab

昨日、大学について書きましたので、今回も少し昔の大学について書いていきたいと思います。今回は具体的にどんな教育がなされていたのかということについて書いてみたいと思います。 今回の参考文献は「大学の歴史」です。今回は中世の大学で行われていた「スコラ学」という学問・教育スタイルについて見ていきましょう。 大学の歴史 (文庫クセジュ) posted with amazlet at 12.12.01 クリストフ シャルル ジャック ヴェルジェ 白水社 売り上げランキング: 306973 Amazon.co.jp で詳細を見る この本ではスコラ学の特徴として、4つのポイントが示されています(p42〜46)。これをすごくざっくりまとめるとこんなかんじです。 1.原典 教育は数少ない「原典」にもとづいていて行われていた。原典とは知識の基礎となる一般原理が書かれているとされているす。例えば、論理学と哲学はアリストテレス、神学は聖書といったかんじ。これらを教科書として使用していた。 2.講読と討論 教育方法は「講読」と「討論」の2つが中心。講読はテキストを正確に読むことと、問いなどを考えるより踏み込んだ読解をすることの2つがある。「討論」では、テクストを丹念に読みながら「問い」を見つけて、教師の指導のもと、聴衆の前で学生が議論をする。 3.学位 試験と学位授与というシステムができた。これは当時の教会とは異なるシステムだった。学位が交付され、これは学生たちの知的能力を保証するものとなった 4.書き言葉と口頭表現 大学の教育は基本的に「口述」。教師は講読内容を書き取らせてはだめで、当時の学生はノートを取らずに教師の説明をおいかけていた。ちなみに、この当時は書物が高く、個人で所有するというわけにはいかなかった。 ▼ いかがでしょうか。「原典」をベースに、それをしっかり読む。そして、その知識をもとに議論を行うというのであれば、いまも似たようなことがやられていますよね。ちなみにスコラ学に対する批判としては、「古代からの学知の分類がそのまま採用されていること」や「討論は意味のない饒舌を助長している」などといったものがあったようです。これらの批判や時代の流れから、徐々に「ゼミナール」という方法が注目されていくことになります。

tate-lab:立教大学経営学部 舘野泰一

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